日. 8月 24th, 2025

資産の運用や保有の形態のひとつとして、さまざまな価値が認められているものの中に、スポーツクラブやゴルフ場の会員権がある。中でも多くのゴルフ場で発行されている会員権は、趣味のゴルフを優先的に楽しむための制度というだけでなく、その資産価値や流通性から相続税や資産の評価とも深く関係している点が特徴である。ゴルフ場による会員権発行の背景には、預託金や会員からの資本による運営体制が関わっている。会員になることで一定額の出資や預託金を支払い、その対価としてコース利用の優先権や割引などのメリットが付与される。同時に、この会員権自体が取引の対象となっており、売買や贈与が認められている点が他のクラブ制度と異なる点といえる。

そしてこのように市場で流通している資産であるがゆえに、住所等を所有する不動産や預貯金などと同様に相続の際も対象財産となる。遺産分割や遺志を反映し財産を伝える場面で、ゴルフ会員権も明確に遺産とみなされ相続税の計算に組み込まれる。そのため、被相続人の財産目録などを作成する段階で、この会員権の扱いについて専門家の助言を求める場面は多い。では、このような会員権の相続税における評価方法はどのようになっているのか。相続や贈与税の計算に際しては、国税庁で定められた基準に従い評価額を算出することとなる。

一般的に、ゴルフ会員権は市場で売買されている価格を基準とする「時価評価」が原則となる。なお、時価としては主に第三者へ譲渡や売却する場合の金額が参考となるため、直近の会員権の取引実績や市中の販売価格一覧などが考慮される。評価方法は国税庁が示す「財産評価基本通達」によってクラス分けされており、代表的なものとして「預託金型」と「社団法人型」などがある。預託金型の会員権の場合、本来返還請求権を持つ額面のほか、市場での売買実例価格や取引相場、ゴルフ場による退会・譲渡時の返金制度など、複合的な指標を取り入れて評価する。社団法人等の場合はその特殊性から返還価額等を基礎に算出される。

ここで注意が必要なのが、市場での相場と発行金額にしばしば乖離が生じている点である。ゴルフ場の経営状態や地域性、利用者数など種々の要因により、会員権の価値は常時変動するため、直近数か月の売買事例を具体的に反映させた評価が必要となる。仮に市場で著しく流動性を欠く場合や買い手・売り手が極端に少ない場合には、別途専門家の判断が必要となることもある。実際の相続税の申告時には、被相続人が保有していた会員権の種別や内容ごとに評価明細を作成し、その根拠として市場価格や周辺取引事例などを明示する。時価が明らかでない場合や発行元が休業、倒産といった事実がある場合は、信頼できる第三者による価値算出資料の提出が求められる場合も多い。

申告後に税務調査等で過大・過小評価を指摘されるリスクがあるため、証拠資料の保全や会員権会社にも事前確認することが肝要である。さらに、会員権に伴う義務についても整理しておく必要がある。たとえば継承後の年会費負担や利用権の名義変更手続き、もしくは名義変更料の支払が義務付けられているケースがある。一部では相続人に対し入会審査やゴルフ場による再承認を必要とするところも認められる。会員権の資産価値や流通価値はこうした運用面の条件や約款内容にも左右されるため、相続の対象としての価値が必ずしも発行額通りとならない点にも注意が必要である。

また、会員権の名義変更から売却や譲渡まで検討する時には、その時点の市場動向やプレミアム価値の有無などにより算定額が調整される場合もある。一定期間の休会制度や利用制限、優待券発行の頻度等も、最終的な評価の根拠となることが多い。これらを適正に判断するには、日頃から価格情報の確認や専門的な相談を経ておくことが資産管理上とても重要である。とりわけ、相続を見越した財産設計や遺言作成の段階で、ゴルフ会員権が主たる財産構成要素のひとつである場合、どのタイミングでどう評価するか、具体的な相続人への分配方法など、計画的な取り組みが期待される。さらにゴルフ場が合併や再編などによる組織改変、営業形態の変更など、想定外の事態にも柔軟に対応した遺産処理策を定めておくことで相続時の混乱を防ぐことにもつながる。

このように資産の多様化と価値管理への意識向上を背景に、スポーツクラブの会員権も単なる趣味の一環にとどまらず、法律や税務の観点からの評価が強まっている。円滑な相続税申告とその評価には、日々変動する市場情報への目配りと、的確な評価方法・書類準備が重要なポイントとなっている。今後もゴルフ会員権が資産や相続にどう位置づけられるのかについては、社会経済の変化と共に一層の注意が求められている。ゴルフ場をはじめとするスポーツクラブの会員権は、単なる趣味の権利ではなく、資産としての価値や流通性を持つため、相続や資産評価においても重要な位置を占めています。特にゴルフ会員権は、市場で売買される性質上、相続税の計算時には国税庁の基準に沿った「時価評価」が適用され、直近の取引実績や市場価格が重視されます。

会員権の種類によっては、預託金型や社団法人型など異なる評価方法が用いられ、会員権の発行額と市場価値が大きく乖離するケースも多いため、実際の取引相場や経営状態など複合的な要素を考慮する必要があります。加えて、名義変更や年会費負担、入会審査などの付随義務も相続人が引き継ぐ必要があるため、事前の確認や専門家への相談が不可欠です。会員権の評価や相続方法は、ゴルフ場の運営形態や市場動向、約款内容によっても変動しうるため、評価明細や取引資料の適切な準備が求められます。今後、資産の多様化や社会経済の変化が進む中で、ゴルフ会員権などの特殊資産については一層の管理意識と柔軟な対応が必要とされているのです。